Sweet Lover

「折角日本にいらっしゃるのですから、正式に婚約パーティーをなさればよいではありませんか。
 天国のご両親もきっと、お嬢様の晴れの姿を見て喜ばれるに違いありません」

……そっか。

「ヘンリーさんも、パパとママのことをご存知なんですね」

「ええ、おぼっちゃまと親しくさせていただいておりましたから」

懐かしい光景でも思い出したのかしら。ヘンリーさんの目尻が、さらに下がった。

「……いい加減、人をガキ扱いするのはやめろっ」

響哉さんがイラついた声をあげても、ヘンリーさんは微塵も動じない。

「僭越ですが、響哉様。
 『次期当主』なんていわれている間は、半人前と言われて当然です。
 せめて婚約パーティーでもなさって、大人だと言う事を自らアピールされてはいかがでしょうか?」