Sweet Lover

「それで?
 ご多忙の合間を縫って、そんな皮肉を言いにきただけってことはないだろう?」

響哉さんは黒髪をさらりとかきあげながら、ヘンリーさんに問う。

「いつまで経っても手紙を読んでいただけないようですから。
 わざわざ足を運ばせて頂いたというわけです」

「どうせ、家に寄れとかそういうくだらないことが書いてあるんだろう?」

「それをくだらないと仰るのであれば、確かにそうですが、でしたら、本日のプロモーション活動も同じではありませんか?」

穏やかな口調で容赦なく皮肉を投げつけると、ヘンリーさんが私に視線を投げてきた。


……え、私?