Sweet Lover

「はい。
 少しは落ち着くと思うんだけど」

響哉さんはレモン水を渡してくれた。

「これで口をゆすいでおいで」

「ありがとう」

私は洗面所に向かう。
鏡に映る顔は、まだ少し青い。

けど――。

なんていうか、驚くことが多すぎてもう、さっき吐いたことなんて忘れちゃってたわ、私。

それでも、口の中がさっぱりした。

「それにしても、留守の部屋に押し入るなんて、趣味が悪い」

リビングに戻ると、響哉さんがそうヘンリーさんに言っているところだった。