Sweet Lover

「ジコチューって認めたんだから、何をしてもいいよね?」

私の手を掴んでご機嫌に歩いていく響哉さん。

「そんなわけないでしょっ」

どうしよう。
響哉さん、軽く、思考回路が壊れてません?

車をぶっ飛ばしたせいで、ハイにでもなっちゃったのかしら。

それとも、単に昨夜からちょっと変だったモードが、元に戻っちゃっただけ?


戸惑う私を、引きずらんばかりの勢いで連れて行く。
けれども。

響哉さんは自分のマンションの部屋のドアを目の前にして、急に深刻な顔で黙り込んでしまった。

そんなにまじまじと、鍵を取り出す前にドアを眺める人がいるのかしらってくらいに見つめている。