そろそろ、昼休みも終わる。
先生に渡された貧血に効くという薬を飲んだ後、私たちは片付けて、立ち上がった。

ふと、梨音が口を開く。

「どうして、須藤響哉は俳優を目指したか、先生は知ってるんですか?」

「さあ。
 取り立てて聞いてみたことは一度も無いな。
 須藤家は当時、欧州に強くアメリカではあまり名前が出てなかったから、影響力の少ないアメリカで何かがしたかったんだとは思うけど」

先生は言うと、何を思いついたのかその口許に笑みを見せた。

「ただ、響哉は昔っから、何もかもを上手いこと演じてみせるヤツだったからな。
 演じることにかけては、俳優なんてやる前から超一流なんだよ」

自分でその辺、わきまえてたたんじゃない? と言う。

そこで予鈴がなったので、私たちは慌てて教室に戻った。