Sweet Lover

私はかいつまんで説明した。

私の将来の夢の邪魔にならないようなら、一緒にアメリカに来ないかと響哉さんに誘われたことを。
でも、私はまだ具体的に夢なんて抱いてなくて――。


はぁ、と、私の言葉の途中で、梨音はあからさまに表情を曇らせた。

「やっぱりアイツ、だいっきらい。
 結局私から、真朝を奪っていくんじゃないっ」

……え。

梨音の発言に私はびっくりした。

「だって、アメリカで暮らすってことでしょう?」

そう、だよね――。

どうして、将来の仕事のことばかりに気持ちが奪われていたのかしら。


私の生活の拠点が日本から離れちゃうってことは、今までの生活も一変しちゃうってことなのに。

そんなことは、梨音に言われるまで、ちっとも気にならなかった。