Sweet Lover

「響哉さんに聞かれたんだけど……。
 正直、私具体的にはまだ何も考えてなくて。
 すごく漠然と、私文系だし、経済学部にでも行って、そのままOLになろうかなくらいしか、考えてなくて……。
 でも、響哉さんは、私の年の時にはもう、家を捨てて俳優を目指すって決めてたんでしょう?」

「まぁ、アイツの場合は最初からデカイモノ背負わされていたからな。
 ちょっと普通とは状況が違うんじゃない?
 参考にしない方が良い」

そう言うと、一息ついてから改めて喋り出す。

「俺の場合も一緒さ。
 祖父も父も医者。
 兄たちも医者を目指してた。じゃあやっぱり、俺も医者しかないよな、って感じ。参考にならないだろ?」