Sweet Lover

「それ以外の話なら、乗ってやってもいいぞ。
 ……って言っても、須藤との恋愛相談なら聞く耳持てねーけど」

「そんなんじゃないもんっ」

私は一度ぷくっと膨れてみてから、ようやく気持ちを落ち着けて唇を開いた。

「……先生は、いつ、将来の仕事を決めましたか?」

「将来の仕事?
 急にまたどうしたの。進路相談の先生、紹介しようか?」

茶化す先生を、私はミラー越しに睨む。

「……もういい。
 私だって、進路相談の奥田先生くらい知ってますっ」

ぷい、と。
車の外に目をやった。

目に飛び込むのは、忙しそうに歩道を歩くスーツ姿の大人たち。
彼らはいつ、今の仕事に就くことを決めたのかしら……。