Sweet Lover

「先生……質問してもいいですか?」

バックミラー越しにちらりと私を見た佐伯先生は、はぁ、と、わざとのように一度深いため息をつく。

「初体験のご相談ならお断りします」

「……ち、違いますっ」

真っ赤になって否定する私に、おや、と、意外そうな声が飛んできた。

「須藤の態度がすっかり父親モードから恋人モードに変貌していたから、てっきり夕べ……」

「な、何もないに決まってるじゃないですか。
 私、昨日は貧血で倒れたくらいですよっ」

「ああ、じゃあ今夜に向けての心と体の準備について?」

「……違いますっ。
 とりあえず、その思考回路、一度捨ててもらえませんか?」

オトナ過ぎる話に、私の脳みそはオーバーヒートしてしまいそう。