「ねぇ、本当にこんなのつけたほうが良いわけ?」

響哉さんが呆れ声で問う。

「お気に召しませんか?
 クロムの新作ですよ」

さっきとはまた別の女性。

「いくらなんでも、付け過ぎじゃない?
 これじゃまるで、アクセサリーの見本市だ」

「そうですかぁ?
 会場の雰囲気に合ってると思ったんですけど」

「最終決定は現場で。
 とりあえず、一応完成と言うことで、私たちは一足先に現場に向かってますね。
 ……本当に、行きの足はいいんですか?」

春花さんが、煮え切らない会話をてきぱきと打ち消して、話をまとめる。

「ああ。
 頼太に強請(ねだ)る。
 駄目ならタクシーで行くから」

「くれぐれも、ご自分で運転しないでくださいね」