「当たり前じゃない。
 彼女が一秒でも長く俺と一緒に居たいって言うから、わざわざ家でメイキャップしてるんだから」

うわぁっ。
さらりと、微塵の躊躇いも無く、嘘をつくのは止めて下さい。

「ええ~。
 いいなぁ、彼女っ。
 羨ましいっ」

「だろ?
 そりゃ、俺の彼女は世界一幸せじゃなきゃ。
 俺と付き合う意味、ないじゃない」

……響哉さん?
  言ってる意味が、分かりませんけど。

歯が浮くどころか、身体が浮かび上がりそうな台詞に、私はくらりと眩暈を覚えたけれど、どうやらリビングの中の女性陣のボルテージはさらに上がっていったみたい。

「ですよねぇ~」

なんて相槌まで打ってる人がいるんだもの。