「ダメダメ。
 そういう微妙な質感、結構スクリーンから滲み出てくるんだから。
 とにかく、この長さのままなんとかしてよ。
 プロでしょう?」

「……はぁい」

……プロ。
  ってことは、そこにプロのヘアスタイリストさんが居るってこと?

私は隙間が開いているリビングに、入っていく勇気が持てないで居た。

「社長。
 そろそろ、彼女を起こして参りましょうか?」

その声が春花さんのものだということは、分かる。
もちろん、仕事モードのきびきびとした喋り方だ。

「ええ、スドーさんって、彼女と暮らしてるんですか?」

きゃぁきゃぁと女性陣が色めき立つ声が響く。

一体、何人居るのかしら――。