ふと目が覚めた時、隣に響哉さんは居なかった。
手を伸ばすと、シーツのぬくもりは薄く、私の心に胸騒ぎが走る。
時間は朝の6時前。
それを目の端で確認してから、部屋のドアを開けたら――。
そこはまるで別世界のように、騒々しかった。
「スドーさん、少し髪を切ってもいいですか?」
テンションの高い女性の声。
「だから、駄目だって言ってるじゃない。
監督がイメージと違う、なんて言い出したらどうすんの」
私は、その耳に聞こえた響哉さんの声をどう表現したら良いか分からない。
私に向けるような甘さは無い。
けれども、佐伯先生に向けるような親しみのある声でもない。
強いて言えば、そう――。
余所行きの、声。
「ウィッグかぶればいいじゃないですか」
手を伸ばすと、シーツのぬくもりは薄く、私の心に胸騒ぎが走る。
時間は朝の6時前。
それを目の端で確認してから、部屋のドアを開けたら――。
そこはまるで別世界のように、騒々しかった。
「スドーさん、少し髪を切ってもいいですか?」
テンションの高い女性の声。
「だから、駄目だって言ってるじゃない。
監督がイメージと違う、なんて言い出したらどうすんの」
私は、その耳に聞こえた響哉さんの声をどう表現したら良いか分からない。
私に向けるような甘さは無い。
けれども、佐伯先生に向けるような親しみのある声でもない。
強いて言えば、そう――。
余所行きの、声。
「ウィッグかぶればいいじゃないですか」