それでも響哉さんは私の顎を持ち上げ、触れるだけのキスをすると、そのまま腕の中に抱き寄せてくれる。

「心配なんだから。
 ――分かるだろう?」

切なさを混ぜ込んだ声が、耳元で囁かれた。


大事な人を失うことが怖いのは、私だけじゃない――


「分かったら、今日はもうお休み」

私はその言葉に従って瞳を閉じる。
慣れた腕の中は心地良くて、しばらくまどろんでいた私は、そう時間をおかず深い眠りに落ちていった。