それから、ふわりと腕の中に私を抱き寄せて、そっと耳元で囁いた。
「でも、俺のことを【立場関係なく】気遣ってくれるのは、マーサだけだよ」
冗談とは思えない、真剣な口調でそう囁かれ、私は驚いて、固まってしまった。
響哉さんに気遣うのは、彼が須藤家次期当主だから。あるいは、人気俳優だから。
そういう立場抜きに、純粋に。
彼に気を遣った人なんて居ないって、響哉さんはそう信じて今日まで生きてきたなんて――。
そんなことないのに。
春花さんだって、佐伯先生だって、響哉さんのことが好きなのに。
――そういうのが伝わらなくなっちゃうくらい、凄い立場なのかな。
須藤家の次期当主って言うのは――。
私は、なんて言ったらいいか分からなくて、くしゃりと頭を撫でられても、言葉がちっとも出てこない。
「でも、俺のことを【立場関係なく】気遣ってくれるのは、マーサだけだよ」
冗談とは思えない、真剣な口調でそう囁かれ、私は驚いて、固まってしまった。
響哉さんに気遣うのは、彼が須藤家次期当主だから。あるいは、人気俳優だから。
そういう立場抜きに、純粋に。
彼に気を遣った人なんて居ないって、響哉さんはそう信じて今日まで生きてきたなんて――。
そんなことないのに。
春花さんだって、佐伯先生だって、響哉さんのことが好きなのに。
――そういうのが伝わらなくなっちゃうくらい、凄い立場なのかな。
須藤家の次期当主って言うのは――。
私は、なんて言ったらいいか分からなくて、くしゃりと頭を撫でられても、言葉がちっとも出てこない。


