Sweet Lover

「でも、私。
 公園であの記者に、『二階堂 朝香さんですか――?』って声を掛けられたんだよ」

おや、と。
響哉さんは形の良い瞳を軽く細める。

「俺の言葉より、そんな通りすがりの男の言うことを信じるの?」

「……そうじゃ、ない、けど……」

そんな風に聞かれたら、否定するほかないじゃない。

「だろ。
 ほら、ピザが冷める前に食べない?
 それとも、さっきの続きをしようか?」

殊更色っぽくそう言うので、思わず心臓が高鳴る。

けれど。

響哉さんの指が顎に触れる直前に、私は弾かれたように立ち上がった。