Sweet Lover

くしゃり、と、頭を撫でられて我に返った。

「ごめんね、マーサ。
 傷つけるつもりじゃなかったんだ」

耳に入るのは、しゅんとした響哉さんの声。

私が黙っていると、毛布ごと抱き寄せられた。

「俺が愛してるのはマーサだけだよ。
 本当にゴメン」

毛布の上から、キスが降ってくる。

響哉さんはそのまま、毛布ごと私の背中を撫でてくれた。


――
―――

「……いい加減、帰ってくれない?」

どのくらいの時間が経ったのか。
痺れを切らした佐伯先生の冷たい声が飛んできた。

「俺と一緒に帰ってくれる?」

響哉さんは、心配度100%と思われる掠れた声でそう聞いてきた。

私は――。

どうしたら良いのか、分からない。

「真朝ちゃん。
 まだ拗ねてるの?」

先生の声が、遠くから聞こえる。

「だって……っ」