……嘘、でしょう?

信じられない光景に、二三度瞬きを繰り返したけれど、情景は変わらない。
私は足音を立てないように気をつけて、来た道を戻ることにした。

そのまま、昇降口から帰ろうと思ったのに――。

何故か、理事長室の前に当然のように白衣姿の佐伯先生が立っていて、私の腕を強引に掴んだ。

「何してるんですか?」

「それは俺の台詞だな。
 ま、何があったか大体想像つくけどね。
 だから、先回りして自分の仕事を一つ減らしただけだよ。
 二日続けて、真朝ちゃん探しをするのはごめんこうむりたいからね」

言うと、保健室に向かって半ば私を引きずるように歩いていく。