私は保健室のベッドで目を覚ました。
身体を起こしても、眩暈はしない。

私はベッドから降りて、保健室を見た。
佐伯先生はデスクに向かって書類を書いているところだった。

「先生。
 響哉さんは――?」

「車に荷物を置きに行った。すぐに戻ってくるから、ここで待っておけば?」

その言葉に従えばよかった、けれど。
とても体調が良くなっていた私は、
「大丈夫です。今日はありがとうございました」と言って、駐車場に向かうことにした。

理事長の居ない理事長室に勝手に入ることにも、もう慣れてしまった。

秘密の通路を抜けて、駐車場に向かって――。

そこで。
梨音を抱きしめている響哉さんを見てしまった。