「懺悔するなら牧師にしろよ。
 仮にも将来の伴侶にしようと思っている人間を、巻き込むな」

いちいち、腹が立つほど正論だ。


……だから、嫌いなんだよ。
  やたらと頭の切れるヤツは。

「ちょっとは感情ってもんがないわけ?」

反射的な返答に、頼太がくつくつと喉を鳴らす。

「あいにく、感情に任せて好き勝手やって、許されるような身分じゃないもので」

耳に痛い皮肉に、肩を竦めて精一杯の抗議を見せた。

が、眼鏡の奥の頼太の瞳は冷たいままだ。


「お前の恋愛に口を挟むつもりはない。
でも、あの二人の大切な一人娘を傷付けなきゃ、お前が幸せになれないって言うなら、俺は。
お前の不幸を願うね」