響哉さんは私を抱きしめる指先に力を入れて、再び口を開く。

「俺はそんな外野の連中なんて気にならなかった。
 ……けれど、問題なのはじいさんだ。
 彼は、俺に早く長男が出来てこれを継がせることが夢だったからね」

そこまでさらりと言った後、響哉さんは唇を噛み締めた。

その瞳がひどく辛そうで、私はそれ以上の話を聞くのが気の毒になる。

だって、身体のどこかが切られたみたいに痛そうな顔をするんだもの。

私は響哉さんの胸に顔を埋めた。

「お話が長いから眠くなっちゃった」

響哉さんは一瞬息を呑む。

「……そうだね。
 ゆっくりお休み」

糖度100パーセントの甘い声でそう言うと、いつも私を寝かしつけるときにそうするように、背中をそっと叩いてくれた。