「18歳になっても反抗期が終わらない須藤は、わざとグループと関係ない大学に進学した。
 ……お陰で、既に大学1年生だった俺は、わざわざ辞めてその大学に入りなおさなきゃいけなくなった……。
 酷い話だろう?」

遠くから聞こえてくるグチに、私は思わず唇を綻ばせる。

「そうですね」

「でも、そっちの大学の方がいわゆる有名な教授が揃ってたんだぜ。特に医学部には、ね」

響哉さんが言う。

「へぇ。
 わざわざ俺のために、そういう学部を選んでくれたって言うわけ?
 自分は経済学部なのに?」

慣れた軽口が飛んでくる。

「ご名答」

響哉さんは手の甲で私の頬を撫でながら、くすりと笑った。