「そうそう。もてない男の僻みは怖いから、今すぐ出て行けよ。
 それとも、また、俺の助けがないと次の告白に進めない?」

佐伯先生の冗談交じりの言葉が、カーテンの向こうから飛んでくる。
響哉さんの表情が、ほんの一瞬険しくなった。

「先生、おねがいしまーす」

小学生の物まねでもするような口調で、響哉さんが言う。

「でも、俺はお前の本心まではしらねーよ?」

先生はわざとのようにふざけた口調を作る。

「当たり前だろう。
 何が悲しくて、お前なんかに本心を告白しなきゃいけねーんだよ」

響哉さんも、同じ口調で返した。