Sweet Lover

「ま、だからといって、別に、誰とも付き合わなかったって言い切れるほど清廉潔白な学生時代を送っていたとも言わないけどね」

言うと、響哉さんは自嘲的に笑ってみせた。

そうして、私の耳元に唇を寄せる。

「でも、マーサが俺と付き合ってくれるなら、誰とも浮気なんてしないから。
 信じてくれる?」

佐伯先生には聞こえそうにない、空気に溶けそうなほど小さな声で囁かれたその言葉は、小さな男の子の精一杯の告白を思わせるように真面目で一生懸命だったから。

私はくすぐったい気持ちで、小さく頷いた。

彼がその部分を説明したくないのは、私が妬くと思ってるからなのかも――。


多分、そうだ。

なかなかママの話に入らないのも、きっと、そう。