Sweet Lover

「ま、実際は俺本人がモテたわけじゃなくて、この家を狙っている奴らが群がってただけなんだけどね」

響哉さんは、吐き捨てるように言った。

「だから、『うちの関係者』にどんなに言い寄られても興味を持てなかった。
 どんなに言い寄られても、財産と地位、この家自体を狙っているハイエナにしか見えないんだから仕方がないよな」

響哉さんは、独白するように目を細めながら、吐き捨てるようにそう言った。

……だから、今でも、いろんな人と必要以上に距離を保とうとしているのかしら……。

響哉さんが皆に「冷たく」見えるのは、彼の「恐れ」の現れなのかもしれない、と。

私は思い始めていた。