Sweet Lover

「……は?」

素っ頓狂な声をあげたのは、いつの間にか私たち二人の姿が見えないところに行っていた、佐伯先生だ。

もしかしたら、デスクで仕事でもしているのかもしれない。
ボールペンを走らせる音が聞こえていたから。

「佐伯先生、おねがいしまーすっ」

響哉さんは、ほんの一瞬、私の唇にキスをしてから、顔を離すと、おどけた口調で先生を呼んだ。

「……俺に、何を話してほしいわけ?
 須藤が、いかに女性にモテた学生生活を送っていたかってことについて?」

呆れた声が飛んでくる。

「そう、それそれ。
 いくらなんでも、そういうのって、自分で言うもんじゃないだろ?」