Sweet Lover

パパもママも、とっくにここに居ないから、もう、何も聞けないし触れることも出来ないけれど。

響哉さんになら、こうやって触れられるし、聞けるんだから。

逃げるなんて、もったいないわ。

だから、私は。
ぎゅぎゅぎゅと勇気を振り絞る。

「どうして、パパとママの事故が自分のせいだって思ったの?
 響哉さんはその時、アメリカに居たんでしょう?」

響哉さんは頬に添えた私の手に、さらに自分の手を重ねて、

「それはね、マーサ」

と、喋りだしてくれた。