Sweet Lover

「お前、本気?」

「本気に決まってるだろう?
 うちの会長相手に冗談を言うほどの大物にはなれないなー」

「……もしかして、本気であの責任が自分にあるとでも思ってるわけ?」

先生はその話を切り出す直前、ちらりと私を見て、言葉の一部を飲み込んだ。

……何の、責任?

ふいに、胸の奥に得体のしれない影が浮かぶ。


響哉さんは、形の良い瞳を細め、淋しそうな目をして言った。

「真一と朝香ちゃんの事故死に、俺の責任はなかった。
 あれは、本当に誰の悪意も無いただの事故。
 それは自分で納得いくまで調査して出した結論だ。
 でも。
 俺の責任で誰かが殺されるかもしれないという恐怖は、常に付き纏っている。
 あの事故以降、ずっと」