「危ないなー、俺の大切な彼女に当たったらどうすんの」

先生が投げてきたのは、鉄分が入っている栄養補助ドリンクで。

響哉さんは、ため息混じりにそう言いながらも、ふたを開けて渡してくれた。

「ありがとうございます」

私はそれを受け取って、一応先生にお礼を言うとごくりと飲み干した。

「そうなったら、俺の前で寒い発言をした自分を責めるんだな」

先生は不機嫌を隠さない低い声でそう言うと、椅子を引っ張ってきて座った。

それから、唇の端を吊り上げて笑う。

「それに、お前はそんな失敗しないだろ?」

いつもの軽口とは一線を画したようなその声には、長年連れ添ったものだけに向けられる信頼の色が添えてあるように思われた。