どんよりした分厚い曇り空を思わせる、重たい空気が胸に浮かぶ。

ため息さえつけず、私は残りのお弁当をすべて胃におさめて、鳴り響くチャイムを他人事のように聞いていた。


――なんなんだろう。
  須藤グループって。


どれほど大きな組織で、どれだけお金があって、何の権力があるのか知らないけど。

こうやって、関係ない人の人生を巻き込んで、いったい何様のつもり?


冗談じゃない。


そこまで考えて、ああ、と思った。


だからきっと、梨音は、響哉さんのことが嫌いなんだ。


友人に対してスパイ行為をすることを強いるなんて、ひど過ぎるもの。
しかも、親の出世と引き換えに。