Sweet Lover

「パパは赤ん坊を抱きなれてなくて、響哉さんは抱きなれていたってことですか?」

「さぁ。
 そこに居たわけじゃないから詳細までは知らないけどね。
 ちょっと待ってて、靴、取ってくるから」

「すみません」

結局お姫様抱っこをされたまま、スカイラインの中に押し込められてしまった私は、大人しく先生の言葉に従うほかない。

先生は携帯電話で話しながら帰ってきた。

「……そう。
 宜しくね、じゃ」

ドアを閉めながらそういうと、電話を切る。

「兄貴が見てくれるって」

「先生のお兄さんって、お医者さんなんですか?」

「そう……。
 本当は俺も医者なんだけど、ね」

冗談めかしてそう言って、くすりと笑う。