Sweet Lover

制服に着替えた私を、先生は当然のように抱きかかえた。
いわゆる、お姫様抱っこ、だ。

「あ、の……。
 恥ずかしいんで下ろしてください。
 私、歩けますっ」

「何言ってんの。
 初めて俺に抱き上げられたわけじゃあるまいし――」

って、それは赤ちゃんの頃か、先日、気絶したときの話ですよね?

それにしても、こうして下から見上げると、本当に響哉さんに似ている――。

「おや。
 何見蕩れちゃってるの? 彼氏が忙しいともう浮気?」

私を見下ろしながら、先生が意味ありげな笑顔を浮かべる。

「そ、そんなわけないじゃないですかっ」

私は慌ててそう言った。

「だよね。
 真朝ちゃんは最初から須藤一筋だから」

「どういう意味ですか?」

「あれ? 聞いてない?
 助産婦さんが真朝を待っていた真一と須藤に見せてやったときの話。
 恐る恐る抱いた真一の腕の中で大泣きしていた真朝ちゃんは、須藤に抱かれた途端泣き止んだ、らしいよ?」

……何、それ……。

そんな記憶の無い頃の話をされても困るんですけど。