「本当なら16年前に、お前の子供を産ませるべきだった」
ぽつりと、しかし重みのある声で理事長が言う。
「それをお前が――」
「部外者もおります。
理事長室に参りましょう」
理事長の発言をやんわりとした口調で、しかしきっぱり遮ると、二人は保健室の外へと出て行った。
それって、やっぱり私のこと?
ママは響哉さんの子供を産むべきだったって、理事長はそう言ってるのかしら――。
でも、何故?
「花宮さん。
今は何も考えないで、深呼吸を繰り返したほうがいいですよ」
理事長の言葉を聞いて指先が震えてきた私の手を掴み、佐伯先生が珍しいほど丁寧な口調で言う。
……ああ、そうか。
まだ、この部屋には梨音が居るんだっけ。
ぽつりと、しかし重みのある声で理事長が言う。
「それをお前が――」
「部外者もおります。
理事長室に参りましょう」
理事長の発言をやんわりとした口調で、しかしきっぱり遮ると、二人は保健室の外へと出て行った。
それって、やっぱり私のこと?
ママは響哉さんの子供を産むべきだったって、理事長はそう言ってるのかしら――。
でも、何故?
「花宮さん。
今は何も考えないで、深呼吸を繰り返したほうがいいですよ」
理事長の言葉を聞いて指先が震えてきた私の手を掴み、佐伯先生が珍しいほど丁寧な口調で言う。
……ああ、そうか。
まだ、この部屋には梨音が居るんだっけ。


