Sweet Lover

ふいに、頭の後ろにひんやりとしたものをあてがわれた。

「これ以上止まらなかったら、私が病院に連れて行きます。
 響哉さんは理事長とお話になった方が宜しいですよ」

……え?

別人のような口調と声音だったので、私の中では一瞬、それが佐伯先生の発言だと認識できなかった。

「いや、俺が……」

私の背中に置かれた響哉さんの手に熱がこもる。

「命に関わるわけじゃない。
 お忙しい理事長とのアポを優先してください」

丁寧ながらも、針金を入れ込んだような真っ直ぐな口調で佐伯先生が言い切った。 

「彼女が身篭っているというなら話は別だが」

耳に入ってきたのは理事長の声。