Sweet Lover

「で、私はいつになったらその婚約者とやらを紹介してもらえるのかな?」

「……紹介はさせていただいたはずです」

……いつ?

響哉さんの言葉に目を丸くするのは私だった。

「彼女が3歳のときに一度だけ。
 それっきりではないか」

……お、覚えていませんが。

「今は寝ています。
 後ほど改めて」

「寝顔さえも見せぬというのか?」

「ええ。
 それにお言葉ですが理事長。本当に興味があるのなら、今までいくらでも接触の機会はあったはずです」

「……私が勝手に接触した結果、誰かが彼女を抹殺したら、お前は今度こそ、全てを捨てていなくなるだろう? 響哉」

真剣勝負のような言葉の応酬が続いた後、最後に放たれた理事長の言葉に、後頭部を殴られたような痛みを覚えた。