Sweet Lover

「マーサの血も痛みも全て俺だけのものだから、いいんだよ」

……ええっ!?
今さらりととんでもないことを――。

私の記憶が確かなら、昨夜は取り立ててそういうことをした覚えはないんですけどっ。

「はいはい、そうですかそうですか。
 そういう、背筋がむずがゆくなるような台詞は外に持ち出してくるな。
 迷惑だ」

「違いますっ」

先生の言葉に、つい声を荒げた私を、響哉さんが優しさを閉じ込めた瞳で見つめてくる。

「マーサ、大人しく寝ておかないと、また血が出てきたら困るだろう?」

しぃ、と。
響哉さんの人差し指が唇に当たるので、私は言葉が出せなくなる。

確かに鼻血がまた出てくるのも困るけど。
適当なこと言われるのも同じくらい困るんですけどっ。