「それに、悪いのはマーサじゃない。ちゃんと説明できなかった俺が悪かった」

響哉さんが私の頭を撫で、エンジンをかけた。

「今まで、誰とも関係を持ってないって言ったら嘘になるけど。
 俺の子供を産んでいいのはマーサだけだから」

……は?

ファストフード店で、『ついでにサラダもつけといて』というような気軽さで、さらりと、響哉さんがとんでもないことを言う。

……私が断ったら、自分の子孫を残すってこと諦めるつもりなのかしら。それとも……。

そっと見上げた横顔は、相変わらずの自信に満ち溢れている。

……私が断るわけないって、確信しているのかしら。