『ずるいっ。
 日本語で喋ってたら、何言ってるのかわかんないっ。
 私のキョーヤなのにっ』

うわぁあんっと、子供ならではの大声をあげてペギーが泣き出す。

思わず駆け寄ろうとした私の手を、響哉さんが掴む。

「甘やかされて育ってるんだよ。
 俺に任せて。
 ほら、早くお風呂に入らないとどんどん夜が短くなっちゃう」

まるで、目の前のペギーなんて居ないみたいに、嫣然と微笑みながら意味ありげなことを言うと、くしゃりと頭を撫でてくれた。

……えーっと。
  この状況で尚、よからぬことを計画したりは、してませんよね?

「それとも、『お兄ちゃん』がお風呂に入れてあげようか?」

……うわぁっ。
冗談とも思えぬ言葉の響きと肩にかかる手の動きに、私は慌てて身体を離す。

「一人で入れるから大丈夫っ」