彼女は当然のように、ハグとキスを求めている。
それをあっさり拒否したのは響哉さん。

「Why? You always kiss and hug with me!」
(どうして? いっつもキス&ハグしてくれるのにっ)

少女が喚く。
響哉さんは、子供に向けているとは思えないほど冷たい瞳を彼女に向けて、

『ここは日本だ』

と、英語で冷たく言い放った。


『ここがどこであろうと関係ないわっ』

少女は唇を尖らせる。
――彼女。
  誰かに似てる。

『ねぇ、Dadっ』

Dad……って。

私は思わず息を呑んだ。
日本語に訳すまでも無い。

……あえて言えば「パパ」

やっぱり、響哉さんって子供居るんじゃないっ。
しかも、金髪で碧い目をした女の子――。


不意に頭を過ぎったのは、今朝のキスシーンで。
ああ、あの、共演した女性。
彼女に似ているんだと、気づく。