Sweet Lover

「磯部さん。
 これって、金儲けのチャンスだと思わない?」

響哉さんの抱擁を半ば呆然と眺めていたであろう佐伯先生が、不意に唇を開く。

「そうですね、写メってマスコミに売りますか?」

「違うって。
 マスコミに売ると見せかけて、その3倍の金で響哉に買い取らせるの」

「私、乗ります」

遠慮なくそんな会話をする二人。

「もてないもの同士、ひがまない、ひがまない」

響哉さんは勝手に私の頭にキスを落とすと、恥ずかしさのあまり呆然として言葉も出ない私から、ようやく手を放してくれた。