Sweet Lover

響哉さんはそれを尻目に、遠慮も躊躇いも無く、私を腕に抱き寄せた。

「……きょ、響哉さんっ?」

まさかの展開に動揺が隠せない私は、声がひっくり返ってしまったほどだ。

「今日はフラッシュバックも起きずに、無事に過ごせたみたいだね」

良かった、と、相好を崩す。

今、テレビの記者会見で見た人が、その画面で見せたのと同じ端麗な容姿で、私を抱きしめているかと思うと、夢の中にいるかのようなふわふわした気分になってくる。