「今すぐ記者会見の手配をする。
 終わり次第、すぐ学校に行く。気分がすぐれなかったら保健室で休んでおいて?
 俺が絶対に迎えに行くから。

 誰がなんて言っても、俺の目に映っているのはマーサだけだよ」

臆面もなくさらりと囁かれて、かぁっと顔が熱くなる。
同時に、響哉さんの携帯電話が鳴りだしたけれど、気にする様子もなく、私を腕の中に抱き寄せ、確かめるように唇を重ねた。

言葉を無くして赤面している私の頭をぽんと撫でるように軽く叩き、響哉さんはようやく自分の携帯電話を手に取る。

「今すぐいきまーす。
 え? 仕方ないじゃない。恋人たちには色々と朝からやらなきゃいけないことがあって」

笑いを含んだ声で言うと、響哉さんはすぐさま電話を耳から遠ざける。

「調子に乗りすぎ。 
 3分以内に降りてこなけりゃ、俺は一人で学校に向かう」

佐伯先生の怒声が響く。

私は慌ててカバンを掴み、靴を履く。

「いってらっしゃい」

響哉さんは、極上の笑顔で手をひらひらと振って私を見送ってくれた。