「……っ」

ふわりとした、コーヒーの香りに瞳を開く。

ものすごく近くに、響哉さんがいてびっくりした。

「きょう……っ」

唇に残る、コーヒーの苦味は、夢のせいなんかじゃない、よね?

私は思わず唇に指をあてる。
でも、もちろんそれで真実が分かるはずなんてない。

「響哉さん、今、キス、した?」

響哉さんは僅かに形の良い瞳を丸く見開いて、それからそっと私の頭に手を当て

「してほしい?」

と、耳に心地良い声で囁いた。