Sweet Lover

『朝香ちゃん。
 こういうのこそ、最初が大事なんだ。
 でないと、俺と真朝が腕を組んでバージンロードを歩いた先に、響哉がいる、なんていう不幸が起こらないとも限らないじゃないか』

『あっら。
 別に不幸ってほどのことじゃないじゃない。
 それに、まだ20年も先の話よ?
 それまでには、真朝の世界だっていっぱい広がってるわよ。
 ねぇ、真朝ちゃん』

髪を柔らかく撫でてくれるのは、ママ。

『それに、それまでに須藤くんの方が結婚してるに決まってるわよ』

『……、本気で言ってるの、それ』

パパが驚いて目を見開く。

ふうわりと笑ったまま、首を傾けるママは、何も知らない少女のような笑みをその口許に浮かべていた。