Sweet Lover

「すみませんっ」

「……もういい」

そんな声が、どこか遠くから聞こえてきた気がした。

けれども。
意識はすぐに、深い海の底に引きずられるかのように、まどろみ始めて、覚醒できない。

ううん。
海の底っていうよりも、こたつの中って言った方が適切かもしれないわ。

温かくて、気持ちいい。
懐かしくて、心地いい。

ずっとずっと、昔。
私はここで、まどろんでいた。


それは、まだ。

たくさんの大人に守られて、不安や心配なんていう言葉さえ、知らなかった。

遠い遠い、昔のお話。