君を抱きしめたい



求めていたものが目の前にいる。

そんな奇跡

信じられなくて

涙が溢れて来る。

「本当に…キヨなの…?」

声が震える。


「やっと

まどかさんと同じ景色までたどり着いたよ。

5歳差なんて

もう気にらならないでしょ?

俺はもうあの時みたいに無力な高校生なんかじゃない」


あたしは向き直り

キヨの首に腕を回して抱きしめた。

「キヨ…っキヨ…っ‼」

会いたかった。

そんな言葉なんて

必要ないくらい



きつく

きつく抱きしめた。

「あたし…もう片思いなんかじゃないんだね?」

キヨの頬に触れると

力強い腕があたしを抱き上げるから

あたしの涙がキヨの頬をつたっていく。

それが

まるでキヨの涙のようにも見えたんだ。