真珠。

…あたし昔持ってた。
今も本当は、大事につけてるんだ。
だってこれは小さい時、あの子があたしにくれたから。
大切な宝物だから…。

晶はぼんやりと外を眺めていた。
みんながこの問題にこれからどうしようかと話し合っている最中、晶だけ離れて窓辺にいたのだ。
…今夜は綺麗な満月だった。
センチメンタルになるには、絶好の空。

みんなの話でふいに思い出していた。
自分の一番大切な宝物のこと。
あたしを女の子にしてくれたんだよね、あの真珠は。
あの子があたしに魔法、かけてくれたから。
だからあたしは女の子になれたんだ。
はーぁ、と深くため息をつく。