椛の匂いがした。 椛の髪の香り、椛の服の匂い… …懐かしい匂いが。 「律様、私は」 椛は抱きしめていた腕を離し、律の方を向いた。 「貴方を、愛していました」 「……」 真っすぐに向けられた瞳。 嘘がない真実の心。 「…僕の、生きる理由だったんだよ」 「え?」 「椛だけが、僕の心を癒してくれた…。椛がいたから、僕は信じられたんだ、人間というものを」 「律様…」