「ごめん、楓」 郁生は握っていた手を離し、また木の方に向かった。 ナイフを頭上から思い切り振り下ろそうとした瞬間だった。 「郁!!」 「心!」 楓は少しほっとした。 心が来てくれた喜びに、さっきまで固まっていた顔が緩む。 「どうしたんだよ、そんな血相変えて」 郁生はナイフを下ろして近づいてくる。 「楓」 「ん?」 「離れろ」 「え?」 「郁から離れろ、早く」 「心、何言ってるんだ? もう真珠はそこにあるんだ、手を貸せよ」 郁生は微笑む。