――ピピッ、ピピッ、




しばらくして体温計が鳴って。
示された数字は38度5分。



……すっげえ熱あんじゃん。



こんなに熱があって、なんで、今まで気づかなかったんだ、俺。



フツー気付くだろ。


てか、気づけよ。




バカ、俺……なにしてんだ。



髪をクシャリと握りながらため息をつく。



姉貴は「ゼリーとポカリとあと何かお腹にたまるもの買ってくる」と、部屋を出ていった。




二人っきりになった部屋で俺は唇を噛み締めた。



なにも出来なかった………。



ほとんど全部、姉貴に頼りっぱなしだった。



今さながら、そんな自分に腹が立ってきて。


奈南の体調の変化に気づけなかったことが悔しくて。



心の中で自分を攻め立てる。




「奈南……」



ごめん。



ごめんな…?



ベッド際に座って頭を撫でる。



苦しそうに息をするなかで、奈南はうっすらと目を開けると。


ゆっくりと顔を傾け、俺を見ながら頬を緩ませて微笑んだ。